畑で待った時間がそのまま色になったような、深い赤をしている。もいだ実にはまだ、朝の雫が一粒残っていた。
昨年までの二年は、夏に夏野菜が穫れなかった。
九月の後半まで高温が続き、三十度まで下がってから、ようやく野菜たちが花を咲かせる。実をつけ始めても、トマトは十一月の半ばまで青いままだった。霜が降りる前まで待って、結局、青いまま穫った。
トマトには、思い入れがある。
幼い頃、祖母が畑に連れて行ってくれた。その場でトマトをもいで、かぶりついた。あの匂いと、味を、六十を超えた今も忘れられない。僕が自然農にたどり着いた、原点の一つになっている。
あの頃に、F1種などなかった。種を採って、翌年また蒔く。それが農の、当たり前の営みだった。



