Yoshihiro Nishiguchi

Yoshihiro Nishiguchi

【写真家の手帖】

振り向いて撮る

― 京都駅、西日の中で

Yoshihiro Nishiguchiのアバター
Yoshihiro Nishiguchi
9月 19, 2026
∙ 有料

昨日の夕方、京都駅にいた。

大階段のほうから、西日が斜めに差し込んでいた。硝子張りのビルに光が跳ね返り、段の一つひとつに、くっきりと影が伸びる。上っていく人の姿が黒く抜けて、シルエットになる。夕方のこの数十分だけ、駅がまるで舞台のように見える時間帯がある。硬い光と深い影。撮るなら、いましかない光だ。

その光の中を後にして歩き出した。ふと、一人の女性に目が行った。

綺麗な人だな――そう思った。その人の前を通り過ぎながら、私は何度も横目で見ていた。撮るか、どうしようか。迷っている間も、足だけは前へ進んでいく。けれど、通り過ぎてしまったあとで、頭より先に、体のほうが言った。“いましかない。”気づいたときには、もう振り向いていた。

スマートフォンに視線を落とす、その一瞬。周りの雑踏がすっと遠のいて、彼女だけが、静かに…

Userのアバター

このポストを、Yoshihiro Nishiguchiのご厚意で無料のまま読み進めることができます

または有料購読を購入する
© 2026 Yoshihiro Nishiguchi 西口吉宏 · プライバシー ∙ 利用規約 ∙ 回収に関するお知らせ
Substackを始めるAppを入手
Substackは、優れたカルチャーが集まる場所です