昨日の夕方、京都駅にいた。
大階段のほうから、西日が斜めに差し込んでいた。硝子張りのビルに光が跳ね返り、段の一つひとつに、くっきりと影が伸びる。上っていく人の姿が黒く抜けて、シルエットになる。夕方のこの数十分だけ、駅がまるで舞台のように見える時間帯がある。硬い光と深い影。撮るなら、いましかない光だ。
その光の中を後にして歩き出した。ふと、一人の女性に目が行った。
綺麗な人だな――そう思った。その人の前を通り過ぎながら、私は何度も横目で見ていた。撮るか、どうしようか。迷っている間も、足だけは前へ進んでいく。けれど、通り過ぎてしまったあとで、頭より先に、体のほうが言った。“いましかない。”気づいたときには、もう振り向いていた。
スマートフォンに視線を落とす、その一瞬。周りの雑踏がすっと遠のいて、彼女だけが、静かに…




