去年の土で、今年もミニトマトを育てている。
肥料は、何も足していない。去年ミニトマトを育てたプランターの土を、そのまま使っているだけだ。それでも、支柱の上のほうまで背が伸びて、青い実を房でいくつもつけている。
プランターで、しかも無肥料で、野菜が育つ。そう聞くと、意外に思う人がいるかもしれない。畑ならまだしも、ベランダの小さな器で、肥料もやらずに育つはずがない、と。
でも、育つ。むしろ、肥料をやらないほうが、野菜は元気に育つ。今日は、その育て方を、はじめての人にもわかるように書いてみたい。



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まず、土のことから。
いちばん大事なことを先に言う。ホームセンターで売っている「野菜の土」は、使わない。
あの土は、たしかに便利だ。買ってきて、苗を挿すだけで、それなりに育つ。誰でも簡単にできる。けれど、あらかじめ肥料が効かせてある土が多い。肥料の効いた土で育った野菜は、根が水分を必要以上に吸い上げ、水膨れのような状態になる。外から見れば大きく育っているようでも、中身は健康とは言えない。人間でいえば、食べ過ぎて太っているようなものだ。
だから僕は、肥料の入っていない土から始める。使っているのは、赤玉土(小粒)、黒土、腐葉土、そして鉢底に敷く石。それだけだ。
プランターは、できれば深さが30cmほどあるものがいい。土の量に余裕があるほど、根がのびのびと張れるし、微生物の育つ世界も豊かになる。浅い容器より、少し深いものを選んでほしい。
配合は、袋に書いてある目安どおりでいい。黒土の袋には「黒土40%・赤玉土40%・腐葉土20%」とあって、僕もその通りにした。じつのところ、割合そのものは、そこまで神経質にならなくていい。土の質は地域によってさまざまだし、正解がひとつあるわけでもない。
大事なのは、配合ではない。その土で、微生物をいっしょに育てられるかどうか。そこがすべてだ。
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では、どうやって微生物を育てるのか。
やることは、ひとつだけ。無農薬の米ぬかを、プランターの土の上に振りかける。土の表面が隠れるくらい、全面に。
そして、雨のかかる場所に、そのまま一ヶ月以上置いておく。触らなくていい。雨に打たれているうちに、米ぬかは自然と土の中へ入っていく。
米ぬかは、いわば微生物の餌だ。餌があれば、土の中の微生物が増えていく。増えた微生物が、野菜の育つ土をつくってくれる。肥料を野菜に直接与えるのではなく、土の中の小さな生きものを育てて、その力に任せる。これが、自然農の考え方だ。
一ヶ月待つ。それだけで、土は変わりはじめる。
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種のまき方も、少しだけコツがいる。ここでつまずく人が、いちばん多い。
基本は、種の直径の二倍くらいの土をかぶせる。ただ、これが難しい。たとえばミニトマトの種は、直径一ミリもない。だから、深く埋めてはいけない。ピンセットでつまんで、土の上にそっと乗せるくらいでちょうどいい。
葉物の種は、もっと細かい。ラディッシュやルッコラなどは、筋まき——土に浅い溝をつけて、そこに種を線状にまいていく。芽が出てきたら、混み合ったところを間引いて、間隔をあけてやる。
種を深く埋めすぎて芽が出ず、「自分には向いていない」とあきらめてしまう。そういう人を、僕は何人も見てきた。でも、たいていは種のまき方だけの問題だ。浅く、そっと。それを覚えるだけで、ずいぶん変わる。
これからの季節なら、ラディッシュが簡単だ。種粒が大きくて扱いやすいし、育つのも早い。はじめての一歩には、ちょうどいい。ミニトマトを育ててみたい人は、今から土づくりを始めておくといい。植えるのは、来年の春——四月の末から五月の上旬ごろになる。それまでのあいだ、同じ土でラディッシュやルッコラ、ほうれん草を育ててみてほしい。何かを育てているうちに、土はさらによくなっていく。春が、楽しみになるはずだ。
もし、今は何も植えないという人は、米ぬかを振りかけたまま、雨ざらしにして置いておけばいい。触らなくていい。そのあいだも、土は静かに育っていく。
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そして、この育て方のいちばん面白いところは、土を捨てなくていい、ということだ。
ミニトマトが終わったら、そのままの土に、次はラディッシュやルッコラを育てる。草が生えてきたら、抜いて捨てずに、その草を土の上に置いて、土に返す。
これを繰り返していくと、土の環境は、微生物にとって毎年よくなっていく。一年で使い捨てるどころか、育てるほどに、いい土になっていく。
市販の土は、一年で捨てましょう、と書かれていることが多い。でも僕は、同じ土を二年、三年と育てながら使っている。捨てる必要は、なかった。
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最後に、僕がなぜ、これを勧めるのか。
ベランダにプランターがひとつあれば、忙しい人でも、野菜を育てられる。そして、子どものいる家なら、いっしょに世話ができる。
自分で種をまいて、水をやって、育つのを見て、実ったものを自分の手で収穫する。そして、それをその場で食べる。自分で採った野菜を、嫌いだという子どもを、僕は見たことがない。
できれば、種は固定種を選んでほしい。F1種ではなく、その野菜が本来持っている味を、子どもたちに知ってほしいと思う。本当の野菜の味は、種から始まっている。固定種の種は、「野口のタネ」のオンラインショップで手に入る。僕もここで種を選んでいる。
小さなプランターひとつが、子どもにとっての、いちばん近い畑になる。そこから、笑顔の絶えない食卓が、家庭に生まれていく。僕が願っているのは、そういうことだ。
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この続きとして、育てていくなかで出てくる具体的な疑問——うまく発芽しないとき、土を継いでいくときのコツ、品種ごとの違いといったことは、有料版でもう少し踏み込んで書いていくつもりです。畑ではなくベランダで、いっしょに土を育ててみたい人がいれば、そこで一緒に続けていけたらと思っています。



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🔰のわたしに、ありがたい情報をお分けくださりありがとうございます😁