先日、Instagram にモノクロのスナップが流れてきた。旅先の街の、カフェの窓辺だろうか。本を読む女性、手前にランプとエスプレッソのカップ、そしてガラスにうっすらと、カメラを構えた撮り手自身が映り込んでいる。決定的な瞬間を、みごとに掴んだ一枚だった。フォロワーの数は、私とは桁が違った。
正直に言えば、感心した。と同時に、胸の奥がわずかにざわついた。そのざわつきの正体を、一日かけて考えていた。今日はそれを書いておきたい。
写真には、速い写真と遅い写真がある。この一日で、私はそう考えるようになった。
速い写真は、一瞬を捕まえる。 街を歩き、光と人と出来事が完璧に噛み合う刹那を、反射神経で切り取る。アンリ・カルティエ゠ブレッソンが「決定的瞬間」と呼んだ、あの系譜だ。何百枚と切って、奇跡の一枚が残る。撮り手は常…



